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ちはやふる小倉山杯

 『ちはやふる』の大ファンで、古典文学に造詣が深い大人気Twitterユーザーたらればさん(@tarareba722)に、嵯峨嵐山文華館周辺の観光地をご紹介いただきます。ちはやふる小倉山杯観戦のついでに、ぜひふらりと足を運んでみてはいかがでしょうか?



四.大覚寺(旧嵯峨御所)

京都府京都市右京区嵯峨大沢町4
嵯峨嵐山文化館から徒歩30分

Photo:Adobe Stock、ちはやふる基金
ちはやふる小倉山杯 嵯峨嵐山文華館周辺 亀山公園

「嵯峨野」隆盛の鍵はこの2人の偉人にあり
 JR嵯峨嵐山駅から北へ向かって徒歩なら15分、タクシーなら7分で到着する、嵯峨嵐山の目玉スポットのひとつ。嵐山の観光地全般を回るのであれば、他のスポットから少し離れたここから観光するのがお薦めです。
 平安時代初期、嵯峨天皇がこの場所に離宮(嵯峨院)を造営し、嵯峨帝の信任を得た空海(弘法大師)がお堂を建てて修法を行ったのが大覚寺の起源とされています(このふたりの活躍と交流が、嵯峨嵐山のその後の発展に大きく関係します)。
 大覚寺の境内には嵯峨帝が唐の洞庭湖を模して造営したとされる日本最古の人工庭池「大沢池」があり、この池に咲く花を生けたことが「生け花」の発祥と言われていて、華道嵯峨御流の総司所(家元)でもあります。さらに嵯峨帝には多くの皇子皇女がいたとされ(一説には49名)、その多くを臣籍降下させました。そのうちのひとりが源融(みなもとのとおる)であり、このことで大覚寺は「源氏」発祥の場所ともいわれています。
 参拝料金は大人500円、小中高生300円。後述する祇王寺との共通拝観券(600円)がお得です。

あの名作映画の撮影現場にも
 この地の主である嵯峨天皇は、都を平安京(現在の京都中心部)に移した桓武天皇の子であり、上述のとおり華道の開祖と言われているだけでなく、書道における(空海、橘逸勢と並ぶ)「三筆」のひとりに数えられています。多才ですねー。
 薬子の変、承和の変で帝位を盤石なものにしたのち、『阿・吽』(おかざき真里著、小学館刊)でおなじみ最澄に大乗戒壇の設立を認め、空海に平安京鎮護のため官寺として東寺を下賜しました。
 その嵯峨帝が、譲位後に皇后嘉智子とともに移り住んだのが、嵯峨離宮だったわけです。
 嵯峨帝は譲位後もここで国政に関与し、小野篁(小倉百人一首の第十一番「わたの原」の作者・参議篁)を流罪にしたり、また上述のとおり実子・源融(同第十四番「みちのくの」の作者・河原左大臣)を臣籍降下させたり、さらに時代はくだって嵯峨帝の時代から約200年後に藤原公任(大納言公任)がこの地を訪れ、第五十五番「滝のおとは」をこの地で詠むなど、百人一首に大変ゆかりの深い場所となります。
 鎌倉時代には後宇多天皇がここを復興して院政をしいたため「嵯峨御所」とも呼ばれ、また江戸時代に後水尾天皇から「宸殿」を下賜されており、前庭には「右近の橘」と「左近の梅」が植えられています。
 太秦が近いことから時代劇の撮影に多く利用されており、『陰陽師』(東宝・2001年)のロケもここで実施されました。名作です。ファンの方はぜひ。