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ちはやふる小倉山杯

 『ちはやふる』の大ファンで、古典文学に造詣が深い大人気Twitterユーザーたらればさん(@tarareba722)に、嵯峨嵐山文華館周辺の観光地をご紹介いただきます。ちはやふる小倉山杯観戦のついでに、ぜひふらりと足を運んでみてはいかがでしょうか?



六.化野念仏寺(華西山東漸院念仏寺)

京都府京都市右京区嵯峨鳥居本化野町17
嵯峨嵐山文華館から徒歩35分

Photo:Adobe Stock、ちはやふる基金
ちはやふる小倉山杯 嵯峨嵐山文華館周辺 亀山公園

野ざらしの遺体を空海が供養
 嵯峨嵐山観光地の北西端に位置し、JR嵯峨嵐山駅からだと徒歩25分。観光コースに組み入れるなら(嵯峨野北部をまとめて回る)清凉寺→大覚寺→化野念仏寺→祇王寺→二尊院という順路を推奨します。
「化野(あだしの)」は平安時代から京都の三大埋葬地(ほかは東山の鳥辺野と洛北の蓮台野)と言われており、特に庶民がこの地に風葬されていました。寺伝によると、空海が野ざらしとなっていた遺骸を埋葬するため、この地に五智山如来寺を創建。その後、法然上人の常念仏道場となり、現在にいたるそうです。
 境内にまつられた八千体を数える石仏・石塔は圧巻の迫力で(明治中期、化野の山野に散逸埋没していた石仏を集めたといわれる)、8月最終土日にはこの無縁仏にいっせいにローソクをともす「千灯供養」が実施されます。

もし「死」がなくなれば…
 化野の「あだし」とは「はかない」、「むなしい」という意味であり、それに「化」という字をあてたのは、「生」が「死」と化して、そののちこの世に再び生まれ化すことや、極楽浄土に往生する願いを込めているとのこと。
 古典文学にも多く言及されており、『徒然草』(兼好法師)には、「あだし野の露消ゆる時なく鳥部山の煙立ち去らでのみ、住み果つるならひならば、いかにもののあはれもなからん。世は定めなきこそいみじけれ。(もしもあだし野の露が消えず、鳥部山の煙が立ち消えないように、この世にいつまでも(死なずに)住み続けることになったなら、どんなに情緒がないことでしょう。この世は無常であるからこそすばらしいのです)」と言及。
 また(小倉百人一首第八十九番「玉の緒よ」の作者)式子内親王は「暮るる間も 待つべき世かは あだし野の 松葉の露に嵐たつなり」と詠み、(同第八十六番「嘆けとて」の作者)西行法師は、「誰とても 留まるべきかはあだし野の 草の葉ごとにすがる白露」と詠んで、ともにこの地を無常の代名詞、命の儚さのキーフレーズとしています。